タイのテレビコマーシャルは良くできたものが多い。これは今でも映画産業が日本より盛んなことが大きいと思う。ショッピングセンターや百貨店の上層階には必ず立派な映画館がある。
したがって役者の質も高いが、このコマーシャル の主人公は人間ではなく女学生にOlieng(オーリアン)と名付けられた黒犬。この俳優犬の演技も素晴らしい。
Oliengというのはタイの庶民的な砂糖入りクリームなしの真っ黒なコーヒーに似た飲料で、その色から飼い主にOliengと名付けられた黒犬はタイではポピュラーだ。日本なら「クロ」ということになる。
【2020年6月18日追記】
タイの映画にも俳優犬が登場するが、忘れられないのが2004年のアイファック( ไอ้ฟัก)。
この映画の59分からの、狂犬病の疑いがある野良犬が校庭に入り込み、用務員役の主人公が犬の殺処分を命ぜられるシーン(演技とはいえ、閲覧注意)。
最初観たときは実写なのかと思ってショックを受けた。
後でこの映画のメイキング・ビデオを観て件の俳優犬が登場したが、元々は白い犬でそれをシーンに合わせて黒く染めて撮影したそうだ。前足だけで歩いたり、横たわって苦しそうに息をするのも演技だったことを知って感心した。
今思えば、実写であるわけがない。タイでは犬は国民から広く愛されている存在で、愛犬家でもあったプミポン前国王陛下が飼われていた銅色の雑種犬は「トンデーンさま」と呼ばれていた。トンデーンは銅を意味する。