2003年のことになるが、バンコクのチャオプラヤー川河畔にあるロイヤルオーキッド・シェラトン・ホテル&タワーズの真向かいに廃墟と化した洋館があった。古くも魅力的な建物だったのでシャッターを切ったが、ホテルが5つ星なのでそれでも不釣り合いながら解体されずに残されていたのも、何か隠された歴史でもあったのだろうかと思えた。
既に今はもう見ることができないかなと思いながら今回、16年ぶりに再訪してみたら、驚いたことに当時の面影を残しながらリノベーションされていた。
歴史を調べてみたら、フランス領であった近隣のフランス領インドシナから国境を超えてきたフランスの醸造会社がバンコクに支店を設けたのが、付近に大使館などが多かった理由によりここだったらしい。1907年から1925年にかけて建設されたが、撤退後は放置されていたが、2012年から2016年にかけて改装された。現在ではHouse No.1というイベントスペースになっているらしい。この名称は、ここが当時のタイ王国国王陛下が王妃に与えた格式高い土地であったことに因んで命名されたとのこと。訪れた日は門が閉ざされ、中に入ることはできなかったのが残念。
なお、この建物の北側には同時に建てられた平家の建物がそのままの状態で現存しているのも興味深い。ここは当時ヨーロッパに木材を輸出する貿易商のためのテナントとして貸し出されていたそうだ。
【訪ねた日 2019年5月2日】
これが2003年に来訪した時の様子。荒れてはいるが、入り口前の植木が動物をかたどって剪定されているのが不思議。